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I love Enfield! [バイク]

先週末はお世話になっているRoyal Enfield のスペシャル・ショップ、WingFootさん恒例の「春の一泊ツーリング」がありました。土曜は夕方まで仕事があるため、今回は仕事を終わらせてからの出発です。
 
LemonCafe1.jpg
ところが、こんな日に限って仕事が終わらず、午後7時過ぎ、ヘレヘレになって職場を出、ガレージで出発準備を。と、ポツポツ来ていた雨がなんと本降りになってきたではないですか!やれやれ、と半ばあきらめムードでレインウエア、レイングローブに装備を変えます。午後9時、やっと東京を出発。救いは首都高・中央道の交通量が少なく流れが極めて順調なこと。そして、走りだして程なく、首都高速の60~80kmで通過するカーブを抜けながら・・・おや?なんかコーナリングがいい感じだぞ?実は最近我がEnfield Cafe Racerはガスタンクを変更していたのです。タンク形状が変わりライディングポジションが楽に、自由度が高くなっているのはわかっていましたが、どうも以前より乗り味が明らかに異なる。
 


以前の状態では前傾姿勢を「腰で」維持するのが辛く、どうしてもコンドルタイプの低いハンドルに荷重をかけてしまう傾向がありました。これは長時間ライディングで首・手首が辛いのもありますが、ブレーキング~コーナー進入からバンク~向き変えという一連のデリケートな状況下でとても大事な、「ハンドルに力を入れない、ハンドルで支えない」ということを難しくしていたのです。それが、今日は自然にハンドルから力が抜けた状態を維持できている。そしてそれがトラクションを掛けての立ち上がりでもとても有効に作用し、シートに自然に荷重を移行させられることで旋回後半の後輪トラクションが良く掛かり強く安心して旋回してゆくことができているのです。

これはかなり嬉しい驚きでした。コーナーの連続する首都高を抜け、しばらく直線のつづく八王子までの区間を楽に抜け(ただ直線のこの区間が楽、というのは、カフェスタイルのバイクにとってはスゴイこと?(笑))、4速4000rpmレベルの高速コーナーが連続する中央道区間に入っても、その印象は強まりさえすれど弱まることなく、操縦性が変化していることはもはや確信へと変わっていったのです。
 
 
雨は高度が上がるにつれ霧雨~霧と変わり笹子トンネルを抜け甲府盆地に入る頃には上がってきました。いつもなら辛い首・腰・手首を休めるためにヨロヨロと談合坂SAへ立ち寄らなければ先へ進む気が起きないのですが(笑)、今日は止まるのがもったいない!くらい乗れています。そんな自分に驚きながら(だって、7時すぎまで仕事があり、フィジカルなコンディションは決して良いとは言えない)勝沼IC~塩山~雁坂道へと軽快にバイクを進め、とうとう料金所以外足を着かずにEnfield仲間の投宿している河浦温泉まで一気に走りきってしまいました。
 
 
翌・日曜日は打って変わった晴天に恵まれ、絶好のツーリング日和に。総勢20台を越すEnfield でワインディングを走るのは、もう至福の一瞬! 山梨市内のフルーツライン、柳沢峠、奥多摩往還道、旧・奥多摩有料道路から八王子へ、とほんとに幸せな道がつづきます。ここで、昨夜感じた操縦性変化が「気のせい」ではないことを再確認することができました。やはり今日もいい具合にハンドルから力が抜けています。ハンドルに寄りかからずとも前傾姿勢を保つことが出来、それがブレーキング、リリース/バンキング、アクセル・オン/リア荷重で立ち上がり加速し旋回を強める、という一連の動作がとてもスムースに出来るのです。またシート上でのポジション移動もとても楽。
Enfieldは旋回~立ち上がり時にほんのわずか、気持ちの上では尾てい骨1cmくらい?イン側にカラダを入れたあたりに旋回トラクションを強めるいいポジションがあるのですが、ブレーキング時にタンク・シート・ステップ(と、踵で挟んだサイドボックス)で車体をホールドしていた状態から、ふっ、と力を抜いて抜重と同時に1cmイン側にカラダを預ける、という動作は、わかってはいてもなかなか実践が難しいトコロです。
前傾の強い、いかにも速そうなレーサーレプリカよりも、250ccくらいのオフロード系バイクのほうが低速のきついコーナーや街中の曲がり角で速いのも、こうしたハンドルから力を抜く操作がしやすいから、ということもあるのです。Enfieldもノーマルポジションはこのバンク、前輪のセルフステア、後輪トラクションで立ち上がるという動きがわかり易いバイクですが、カフェスタイルにもかかわらずこの素直な操縦性がスポイルされていないのが今回の驚きなのでした。
 
 
好みの外観を手に入れたことに加え、この操縦性の獲得で嬉しい驚きとともに帰京。WFのチーフメカニックのHgさんに今回の発見を報告、「ねえねえHgさん、タンク変えただけじゃなく、シートポジションも変わってない?もしかしてシート前端すこし低くしてない?」と聞いてみた。Hgさんは進めていた整備の手をちょっと休め、「解りました?」とニコッとした。あ、やっぱり!
聞けば前端が下がったのではなく、後端を1cm上げたとのこと。これにはちょっと驚き。ステアリングヘッド位置は不変なわけだから、シート位置が「上がった」のなら、普通はハンドル荷重が増える方向になり勝ちなはず。それが反対にうまく加重が抜け、リアトラクションが掛けやすくなっている。

考察すると、タンク形状が変わりタンク後端が絞られているので、乗車状態ではライダーの膝の開きは少なくなる。いままではタンクを膝でホールドしようとするとシート上ではやや後ろ気味に座らなければならなかったのが、今回のタンクではより前寄りに座ることができる。と、腰とハンドルの距離はやや縮まり手は楽になる。シート後端がすこし上がったことによって、コーナー立ち上がりで後輪に荷重移動が起こる際にシートはライダーの体重を自然に受け止めることができ、ライダーは安心して後輪の上に乗っていける感じになる。このようなことが相まって今回の素晴らしい操縦性を獲得したのではないだろうか。ハンドル荷重の問題がクリアされていれば、シートは高いほうが旋回性は高まる。ううむ、Hgさんお見事!やるなあ、焼酎喰らって説教するばかりじゃないんだねえやっぱり(笑)。
 
 
バイクの改装をメカニックさんと話し合い進めていく。メカさんはオーナーの意向をとらえ外観、機能性、安全性を考えながら各部をセットアップし作りこんでいく。4輪のレースセッティングも同じようなことがおこることがある。テスト走行を終えてピットに入り、クルマの今日の状態をメカニックさんに伝える。「油圧、水温、排気温度は正常、(コーナー)立ち上がりのトラクションの掛かりがいい。リアが出る感じがなく踏んでいける。その反面、進入でノーズの入りが少し鈍い感じが・・・・」  と、メカさんは「あ~、わかるんだ」 あ、さては試したな~!「実は今日はフロントを5mm上げてみました(笑)」なんて。


lemoncowl.jpg
今回ワンオフで作ってもらったカットアウェイになったカウルのフライスクリーンやヘッドライトカバーも最高にカッコよく付いた。タンク改装ではシートセッティングは頼んではいなかったが、HgさんやKgくん、Trちゃんたちは言われたことのみにとどまらず考え、必要なパーツは無ければ作り、オーナーの期待以上のものを実現してくれる。そういう、彼らの日常の努力の成果を感じ取れたことが嬉しい。こうやってまたボクのEnfieldが世界でたった1台の、ボクとWingFootの作り上げた作品になっていく。こういうこともEnfieldで走る醍醐味の重要なひとつだと思う。あ~幸せ(笑)。
 
 
PS.今回、家族の強い薦めでHit Airのヴェストを着用しました。最初は面倒だけれど、慣れてしまえばやはり安心感は違います。ややゴツイけどお奨め。
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コメント 3

ホウシュウ

お久しぶりです!
あまりのバイクの格好良さに見とれてしまいました。
ちよっとしたセッティングで操縦性の変化を読み取れる
モッチーは凄い! クルマで培った経験が生きているのですね。
Hit Air 装着。大賛成です。
我々のHANSと同じですものね。
これからも、楽しいバイクライフを!
by ホウシュウ (2008-05-01 07:00) 

malefizkerl

Mochieさんの肉体と道具との親和性に対する感性とそれについての表現は並を超えたものをお持ちです。ですので細部の変化に気づき、左脳的に対処できているんだと思います。(同じ思考回路での言い訳も一流です)。
こういう能力を持った人って運動部系の繰り返し練習みたいなことしないでも認知と操作が優れた判断能力でスキルアップできちゃうんだろうなと、いつもいつも感心してます。
分野は違いますが、「右脳指示の根性練習」中心のモンにとっては大変参考になりました。
これからも楽しみにしております。
by malefizkerl (2008-05-01 08:06) 

motchie

お二人とも早々のコメントをありがとうございます。

ホウシュウさん:
マシンコントロール、分析、セッティングの権化のようなホウシュウさんにこんな稚拙な記事みられると赤面の至りです(笑)。でも、この醍醐味はよく理解していただけると思います。また一緒に走りたいですね~。草原でも可(謎)。

malefizkerlさん:(どういうHN?)
楽器でもクルマ・バイクでも、一流の作り手と調性家と演奏家がそろって初めていい結果が・・・って、はいはい、ワタクシの場合、ワイドショーのコメンテイターってところでしょうか(笑)。ゼウスのディレイラー懐かしいです。大昔、片倉シルクのレーサーに一時着けてました。
by motchie (2008-05-01 16:30) 

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