RIDERの紋章 [バイク]
紋章が好きである。
イタリアの都市国家の紋章や、ヨーロッパの王家の紋章、それらに端を発する、現代の企業のICに使われているエンブレム(cf. Alfa Romeo, Porsche, etc)。あるいはスタジオ・ジブリ系のあちこちに登場する紋章(宮崎 駿さんも無類の紋章好き)。
そもそもは自軍の識別のために兵の盾に固有のマーキングをしたのが発祥とされる。それらはやがてルールが厳格に決まり紋章学に発展するが、現代のエンブレムではその紋章学の基本から外れた「違反紋章」も数多い。思うにこれらはデザイン上の理由から、紋章ルール違反であってもキレイな方を採用していったからであろう。
そのように元々は単純な色や幾何学的文様の組み合わせ(現代の競馬の勝負服のような)で、識別が主目的であったのだが、現代ではそのエンブレムは個人アイデンティティ表現のひとつといえるであろう。いまはエンブレムを、エンブレムのカタチで使うことはあまり無いだろうけれど、そのような個の表現がカタチを変えて生きていると思う。
たとえばF1ドライバーのヘルメット。マシンはチーム・スポンサーカラー。レーシングスーツも同様。となると、ドライバーの個を表現するところはヘルメットペイントしかない。強いレーサーのヘルメットカラーリングはそのパフォーマンスと重なり強く見るものを印象付ける。
で、ボクもヘルメットを塗ってもらった(笑)
お願いしたカスタム・ペインターは Stupid Crown のMUNE さん。West TOKYOのモーターシーンの牽引者にして超・多忙の売れっ子ぺインターである。その作品は、かつてリトモ・セレーノ制作のカスタムバイクやレーサー、ボートラップのカスタムバイクなどで当時はMUNEさんの仕事とは知らずに「これ、いいなあ。。」と見ていたものだった!
カスタムペイントといっても、その手法には大きく2通りになるだろう。
その1.は、オーナー(やスポンサー)が明確に細部までデザインを決めて、その通りにペイントしてもらう場合。
その2.は、オーナーの希望・意向・趣向を取り入れつつぺインターがデザインの細部を決めて(あげて)完成させるもの。
クライアントがアマチュアの場合は、完全な誰かのレプリカペイントでなければ、大体2.の手法によるのではないだろうか。その場合ぺインターは塗装の技術だけでなく、デザイナー、アーティストの領域の才も求められるであろう。
MUNEさんとの打ち合わせ時、モチーフの核となるネコ(の紋章)のラフ絵はお渡ししたものの、あとの構成は、4時間に亘るセッションの中で、自分のクルマ遍歴、モータースポーツ歴、モータリング観、その他の趣味・趣向などをお話した。やりとりの中でMUNEさん自身のお話もたくさん聴けたのだが、大変興味深い話も多く、またモノのとらえ方、感じ方にも共感するところ大であった。
それにしてもMUNEさん、干支でひとまわりも若いはずなのに、なんでピンポイントに話が合うの?
ボクの中学・高校の頃の憧れの車両なんて話が合うって、MUNEさんまだ小学生でしょ~
いったいどんな小学生だったのか(笑)
でも、そんな生まれながらに血管に20W―50のオイルが流れているようなDNAは、MUNEさんの息子さんにもしっかり受け継がれているようである(笑)
お願いしたのは、
1.ネコと魚のホネのモチーフを中心に、全体に紋章のような印象。
2.上部か下部に、リボン帯のなかにラテン語のモットーを入れる。
3.中心線にコブララインのような太い2本線?
MUNEさんからの提案は
1.ベースカラーはPIGEON BLUEはどうでしょう?
2.ネコは銀箔、モットーは金または銅箔をベースでは?
3.コブララインは無いほうがいいかも。
PIGEON BLUE とは、古典的な微妙な青緑色。
すごくニュアンスに富んだ色でとても気に入って即!OK!
じつはこれ、MUNEさん自身が自分のモト・グッチに塗りたいと思っている色だそうだが、今回なんとボクも使ってもいいよ、と(嬉)
ボクの現有車両のどれとでも、補色的な取り合わせでマッチングOKだし、4輪とは同系色でこれまたOK!
さて、そんなやりとりをしながら作業は進み、とうとうこのように完成した!!
これをMUNEさんのBlogで見た方のコメントに、「まるで海賊旗のよう・・・」というのがあり、まさに我が意を得たりと膝を打つ。そう、いくつになっても海賊ごっこしてる男児のように「いつでも突進」なモータリングライフで行きたいものなのである。
箔貼りの上にペイントというのが良く分かる。さらに、ネコの眼はなんと螺鈿細工!!!
これだけの仕事が仕込まれていてさらに驚くのは、その上のクリア層の薄さと平滑度!!
周囲の写りこみがすごく、そして全然たわまないのだ。ものすごい技術!!
ちなみに、モデルはこやつ(笑)
反対側にも凝った趣向が。
古い羊皮紙には潮?にまみれた染みのあとが。船に積まれていたのか、あるいは瓶にいれられコルクに蝋で封をされて海に流されたのか。
書かれているのは、実はL.v.ベートーヴェンが荘厳ミサ曲の楽譜の冒頭に書きつけた文言。
このヘルメット、実際の着用に際しての心配が一つ。
ゴーグルで行くかシールドをつけるか。
ゴーグルは雰囲気はいのだが、せっかくのペイントを隠してしまう。
シールドは、Antiques Cafe リュージさん推薦のBob Heath のコンペシールドをつけていたのだけど、これはグリフィンのフルフェイスヘルメットのシールドを思わせるベンチレーションホール付きで、70’sレースシーン風なのだ。それがこのペイントに合うだろうか・・・・
付けてみたら、問題なく合ったので一安心!
ネコということで甘くなりがちな印象に、このコンペシールドが良い塩梅に辛さを加えてくれる。
一個の中古ヘルメットが家宝ものになった。さあ、あとはこれを被ってこれからの自分のモータリングライフを充実させ、このヘルメットと紋章にヒストリーを刻みつけて行こう。
PS. MUNEさんにはもうひとつ、ヴィンテージジェットヘルメットをお願いしている。
こちらは、題して「先祖がえりメット大作戦」(笑)
イタリアの都市国家の紋章や、ヨーロッパの王家の紋章、それらに端を発する、現代の企業のICに使われているエンブレム(cf. Alfa Romeo, Porsche, etc)。あるいはスタジオ・ジブリ系のあちこちに登場する紋章(宮崎 駿さんも無類の紋章好き)。
そもそもは自軍の識別のために兵の盾に固有のマーキングをしたのが発祥とされる。それらはやがてルールが厳格に決まり紋章学に発展するが、現代のエンブレムではその紋章学の基本から外れた「違反紋章」も数多い。思うにこれらはデザイン上の理由から、紋章ルール違反であってもキレイな方を採用していったからであろう。
そのように元々は単純な色や幾何学的文様の組み合わせ(現代の競馬の勝負服のような)で、識別が主目的であったのだが、現代ではそのエンブレムは個人アイデンティティ表現のひとつといえるであろう。いまはエンブレムを、エンブレムのカタチで使うことはあまり無いだろうけれど、そのような個の表現がカタチを変えて生きていると思う。
たとえばF1ドライバーのヘルメット。マシンはチーム・スポンサーカラー。レーシングスーツも同様。となると、ドライバーの個を表現するところはヘルメットペイントしかない。強いレーサーのヘルメットカラーリングはそのパフォーマンスと重なり強く見るものを印象付ける。
で、ボクもヘルメットを塗ってもらった(笑)
お願いしたカスタム・ペインターは Stupid Crown のMUNE さん。West TOKYOのモーターシーンの牽引者にして超・多忙の売れっ子ぺインターである。その作品は、かつてリトモ・セレーノ制作のカスタムバイクやレーサー、ボートラップのカスタムバイクなどで当時はMUNEさんの仕事とは知らずに「これ、いいなあ。。」と見ていたものだった!
カスタムペイントといっても、その手法には大きく2通りになるだろう。
その1.は、オーナー(やスポンサー)が明確に細部までデザインを決めて、その通りにペイントしてもらう場合。
その2.は、オーナーの希望・意向・趣向を取り入れつつぺインターがデザインの細部を決めて(あげて)完成させるもの。
クライアントがアマチュアの場合は、完全な誰かのレプリカペイントでなければ、大体2.の手法によるのではないだろうか。その場合ぺインターは塗装の技術だけでなく、デザイナー、アーティストの領域の才も求められるであろう。
MUNEさんとの打ち合わせ時、モチーフの核となるネコ(の紋章)のラフ絵はお渡ししたものの、あとの構成は、4時間に亘るセッションの中で、自分のクルマ遍歴、モータースポーツ歴、モータリング観、その他の趣味・趣向などをお話した。やりとりの中でMUNEさん自身のお話もたくさん聴けたのだが、大変興味深い話も多く、またモノのとらえ方、感じ方にも共感するところ大であった。
それにしてもMUNEさん、干支でひとまわりも若いはずなのに、なんでピンポイントに話が合うの?
ボクの中学・高校の頃の憧れの車両なんて話が合うって、MUNEさんまだ小学生でしょ~
いったいどんな小学生だったのか(笑)
でも、そんな生まれながらに血管に20W―50のオイルが流れているようなDNAは、MUNEさんの息子さんにもしっかり受け継がれているようである(笑)
お願いしたのは、
1.ネコと魚のホネのモチーフを中心に、全体に紋章のような印象。
2.上部か下部に、リボン帯のなかにラテン語のモットーを入れる。
3.中心線にコブララインのような太い2本線?
MUNEさんからの提案は
1.ベースカラーはPIGEON BLUEはどうでしょう?
2.ネコは銀箔、モットーは金または銅箔をベースでは?
3.コブララインは無いほうがいいかも。
PIGEON BLUE とは、古典的な微妙な青緑色。
すごくニュアンスに富んだ色でとても気に入って即!OK!
じつはこれ、MUNEさん自身が自分のモト・グッチに塗りたいと思っている色だそうだが、今回なんとボクも使ってもいいよ、と(嬉)
ボクの現有車両のどれとでも、補色的な取り合わせでマッチングOKだし、4輪とは同系色でこれまたOK!
さて、そんなやりとりをしながら作業は進み、とうとうこのように完成した!!
これをMUNEさんのBlogで見た方のコメントに、「まるで海賊旗のよう・・・」というのがあり、まさに我が意を得たりと膝を打つ。そう、いくつになっても海賊ごっこしてる男児のように「いつでも突進」なモータリングライフで行きたいものなのである。
箔貼りの上にペイントというのが良く分かる。さらに、ネコの眼はなんと螺鈿細工!!!
これだけの仕事が仕込まれていてさらに驚くのは、その上のクリア層の薄さと平滑度!!
周囲の写りこみがすごく、そして全然たわまないのだ。ものすごい技術!!
ちなみに、モデルはこやつ(笑)
反対側にも凝った趣向が。
古い羊皮紙には潮?にまみれた染みのあとが。船に積まれていたのか、あるいは瓶にいれられコルクに蝋で封をされて海に流されたのか。
書かれているのは、実はL.v.ベートーヴェンが荘厳ミサ曲の楽譜の冒頭に書きつけた文言。
このヘルメット、実際の着用に際しての心配が一つ。
ゴーグルで行くかシールドをつけるか。
ゴーグルは雰囲気はいのだが、せっかくのペイントを隠してしまう。
シールドは、Antiques Cafe リュージさん推薦のBob Heath のコンペシールドをつけていたのだけど、これはグリフィンのフルフェイスヘルメットのシールドを思わせるベンチレーションホール付きで、70’sレースシーン風なのだ。それがこのペイントに合うだろうか・・・・
付けてみたら、問題なく合ったので一安心!
ネコということで甘くなりがちな印象に、このコンペシールドが良い塩梅に辛さを加えてくれる。
一個の中古ヘルメットが家宝ものになった。さあ、あとはこれを被ってこれからの自分のモータリングライフを充実させ、このヘルメットと紋章にヒストリーを刻みつけて行こう。
PS. MUNEさんにはもうひとつ、ヴィンテージジェットヘルメットをお願いしている。
こちらは、題して「先祖がえりメット大作戦」(笑)
2011-08-14 17:03
コメント(2)
職人さんとピッタリの息と粋が生んだ、正に拘りの一品!
恐れ入りました~!
by tr-man (2011-09-07 10:55)
tr-manさん、
コメント有難うございます!
バイクやクルマでも、メカさんとじっくり相談しながら仕上げて行く、その結果、単なる製品ではない、世界でたったひとつの作品となっていく醍醐味が堪りません!w
by motchie (2011-09-10 23:14)