SSブログ

陸奥~鶴の湯・遠野・花巻 [旅]

2006年の仕事が、終わった。。。。終わった。
年末の3日間、かねてから関心のあったディープな東北地方へ小旅行に出た。
八幡平や遠野、角館、陸中海岸などいろいろなエリアが気になるところだが、今回は2泊しか時間が無いし、季節も冬である。秘湯と評判高い乳頭温泉鶴の湯と遠野に焦点を絞ることとした。

いつもクルマに荷物と子供一切合財を押し込めて移動することのおおい我が家だが、今回は珍しく列車での移動だ。現地でも電車・バス・タクシーなどを使って歩こうと思っていたのだけれど、折悪しく季節外れの爆弾低気圧、大荒れの日に出発となることが確実だったため、急遽出発の前日に駅レンタカーを手配した。

初日。東京駅を出た秋田新幹線”こまち”。車中では座席を向かい合わせてジュースにお菓子、駅弁といういつもと様子のちがう旅に子供は面白がっている。幸い周囲も大騒ぎする人もなく、静かで大いに助かる。オンタイムなら目的地の田沢湖駅まで3時間。だが、大低気圧による強風で20分ほど遅れて到着。現地はやはり天候の具合で気温が高く、幹線道路には積雪もない。日本一の深度を誇る田沢湖を一周してみるが、だ~れもいない。早々に乳頭温泉をめざす。
山に入るとさすがに道にも積雪が。着いてみておどろいた。これは一体・・・

まるで江戸末期か明治時代の映画のセットみたいだ。言葉でいうより、写真を見てもらったほうが理解が早いだろう。

そして、通された部屋(本陣)は、ご覧のとおり、囲炉裏にランプである!トイレ・暖房こそ現代のものに代えられ快適であるが、うむむ、日本は、こういう暮らしをしていた国なんだよなあ、としみじみしてしまう。

夕刻、ランプに灯がともり囲炉裏に炭火がくべられ、夕餉のための岩魚の串が刺さる。
宿の名物、芋鍋。山芋を付くねにしたものや山菜がふんだんに入った味噌仕立ての鍋。
その他にもお膳には美味しいものが並ぶ。深い山間の宿、刺身やエビの天ぷらなど安易なものが並んでいないところが良い。
この宿は、一部で「観光地化しすぎている」というような評判もあるようだが、ボクはとても上手にやっている、と思った。建物、風呂などは風情たっぷり!それでいてトイレや暖房はきちんとしていて清潔で暖かく、身体的にはとても安楽、支払いはカードも可(笑)、料理もきちんと考えられていて美味しく量も十分、子供向け料理はかなりおいしいデミグラスソースのハンバーグなんか出るのだ。とても質のよい、徹底した日本テーマパークのようなのだ。外国人を驚かすならこういうところがいいだろう(笑)。

温泉も、推して知るべし。檜の湯船に白濁した源泉かけながし。露天風呂は砂利引きの底から湯が湧いているようだ。浴衣もまた関東のものと異なっていた。普段温泉宿というと、うすい浴衣に丹前というのが多いと思うが、こちらは、うすい浴衣の上には、普通の木綿の一重の着物(長着)を着るようになっている。不思議と帯は一本しかない。ちょっと考えて、浴衣を襦袢のようにして、長着の上から帯を締めた。寒いから下は発熱化学繊維のアンダーウエアを股引がわりにはきっぱなしにした(笑)。すると、これがこの宿、この部屋ではほんとうに快適なのだった。

雪降る中の道行きは、宿のオジサンを見習ってホッ被り(笑)

食事も終わり子供たちが寝静まったあと、明け方までランプの灯の下で炭火のはぜる音を聞きながら、宮部みゆき最新作の”あかんべえ”なんていう江戸モノの文庫本を読んでいると、ほんとうに今が平成の世なのかわからなくなってくる。また、旅先で現地のカッコをすることが好きなボクであるが、やはり畳に囲炉裏に着物というのは、我ながら一番無理なくしっくりきている。というか、なんだか今までもずっとこうして暮らしてきたような気になってしまうのが不思議だ。


翌日は盛岡を経由して花巻から遠野を目指す。途中花巻でTVなどでよく出てくるわんこそばのお店に寄ってみる。男性平均30杯(7杯で普通のかけそば1杯見当だそうだ)というところ、26杯でおなか一杯になった。予想よりとても美味しいおそばだった。
それから遠野を目指す。きれいな里山がつづく川筋を良い感じのワインディングロードがつづく。あいにくの雨だが、季節のいいときにバイクで来たらたまらないだろうな。


午後2時という約束から15分ほど遅れて"ふるさと村”に着いた。ここで郷土民芸のお手玉つくりや藁馬つくりを教えてもらう。保存のために移築したという、有名な南部曲がり屋。こんなに大きく立派なものだとは思っていなかった。想像の6倍くらい大きな建物だ。そのなかの土間のとなり、板張りの部屋の掘りごたつ(炭火)にあたりながら、妻と下の娘がお手玉つくりを、上の娘とボクは藁馬つくりを教えてもらう。
そのあとは、このおばあさんが遠野言葉の語りで、昔話しを3つ聞かせてくれる。座敷わらし、河童の嫁取り、欲張り爺さん・・・


2泊目は花巻・大沢温泉の宿に。ここも藁葺き屋根の宿。おりしも降り始めた雪。どうだろうこの景色! 好きな時代小説作家、藤沢周平の物語の舞台、海坂藩は山形県鶴岡市を想定していると聞くが、そこに登場する藩の組屋敷を彷彿とさせる光景である。ああ、こっちがこんなふうだとは想像以上だった。奈良・京都も自分の日本人たるアイデンティティーを確認させられるような土地であることは確かだが、もっと生活に根付いた、というか日本人の"暮らし”というものはこうだったんだ、という日本の原風景を、ここではまだ偲ぶことができるような気がした。またいつか、再訪しよう。


nice!(1)  コメント(4) 

nice! 1

コメント 4

kittyp

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。
夏のお盆時期に、乳頭温泉へ行ったことがあります。
かえりに、六郷湧水群と酒蔵のまちづくりを探訪してきました。
湧水で、スイカを冷やしていたり、汲み水に来たり、作りこむことのない、さもない生活がある風景でした。
 http://www.rokugo-mizu.net/simizu/simizu1.html
by kittyp (2007-01-03 01:59) 

おーた

私も一昨年の秋に同じ所に泊まりました。
ここのお湯はいいですよね!長湯していると体が熱くなりすぎてのぼせて
ひどいと頭痛までしてくる温泉もありますが、ここのお湯はいくら入ってても
のぼせない、しかもあがったあとホントに体の芯からじわっとあったまっている感覚が長時間続いて、すごく心地よかった記憶があります。
私は紅葉の時期に行きましたが、真っ白な冬景色もここは似合いますね。
部屋にテレビすらないんですよね!大好きな「現実逃避」にはピッタリです(笑)
秋田美人になれましたか・・・?
by おーた (2007-01-03 18:47) 

長T

ご挨拶が遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
仕事から開放されて、湯ったり家族旅行。いいですね~。今度はぜひツーリングに連れてってくださいまし。
by 長T (2007-01-03 19:47) 

motchie

皆様あけましておめでとうございます。本年もよろしくおねがいします。

乳頭温泉・鶴の湯。さすが女性のみなさんに人気ですね!こんなに体験者がおられるとは!

長Tさま、「もしバイクでここに来たら・・・最後の未舗装路は雪ないとどんな状況かな・・・」とか色々考えてしまいました(笑)。いつかみんなでこんなとこツーリングに来てみたいですよね~~。ああ、ほんとに行きたい。
by motchie (2007-01-04 01:18) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

やせ我慢?な Cafe Racer鉄瓶 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。