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旧友の演奏会 [音楽]

友人の演奏会があった。彼は大学オーケストラの仲間、チェロ弾きである。卒業し社会人・家庭人となってからはなかなか継続的に練習や演奏をつづけるのは困難になる。そんな中、彼は(その密度には波もあろうが)アマチュアオーケストラに所属し、練習・演奏を続けてきた。その彼が今日、室内楽の演奏会に出る。
彼の演奏を聴くのは、たしか出身大学の教授の退官記念公演に出た時以来だから、もう10年ちかく前になる。ソロの音を聴くのは、それこそ在学中以来かも知れない。

 
 
今夜の演奏会はベートーヴェンのクラリネット、チェロ、ピアノの3重奏。かなり珍しい編成である。
1曲目、「街の歌」。彼の音に聞き入る。よく伸び、よく調和した室内楽の音である。ううむ、やるなあ。彼の出すアインザッツに、聴いている自分の血が反応してしまう。演奏に、呼吸が、顎が反応してしまう!どんどん曲に、演奏に引き込まれていく。
 
 
休憩をはさんだ2曲目は、これも珍しい曲。もともとは有名な木管と弦の7重奏曲だったものを、ベートーヴェン自身がクラリネット、チェロ、ピアノのために書き直したもの。元曲の7重奏曲は、大学オケ現役時代にそれこそ何度となく仲間と演奏したものだった(ボクは当時、ファゴットをやっていた)。だから曲は細部まで身体に染み込んでいる。ファゴットのソロ旋律が、チェロのパートにかなり盛り込まれているのがわかる。聴いているうちに、学園祭のサロンコンサートでこのSeptetをやったことを思い出していた。このとき我々は大学4年。最終学年で技術的にもアンサンブル的にも脂が乗り切っており、けっこう珠玉の演奏ができた。お互いの呼吸はすべて身体に染み込んでおり、アイコンタクトさえ必要としないようなレベルだったと思う。その仲間たちの多くが、あと数ヶ月で卒業していってしまう・・・そんなことを思い出しながら、じんわりと胸が熱くなってくるのであった。
 
 
そんな旧来の仲間がいい演奏をしている。とてもうれしくなった。技術もすごく上がっている。譜面を追っているのではなく、彼の心の中から湧き出てくるベートーヴェンの音楽が彼の身体、楽器を通して伝わってくる。こちらまで誇らしい気持ちになって、勇気づけられてくる。
ボクも卒業後に始めたヴィオラを頑張って、いつか彼と弦楽四重奏をやってみたいものだ。
 
 


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コメント 4

iris

やりましたねー、H君。
「合わせのとき、足がガクガクふるえちゃってさー」なんて言っていましたが。
その場の空気、ぜひ私も一緒に体感してみたかったなあ。
by iris (2007-03-12 13:09) 

motchie

irisさん、コメントをありがとう。H君、立派でしたよぉ(笑)。

お約束の「ネタ作り」もキチンとやってくれましたから、それは今度お会いしたときにゆっくり皆さんに披露いたしますw

今回、彼の音色を聴いて、ぜひいつかブラームスのヴァイオリンソナタ「雨の歌」のチェロ版を弾いてもらいたいなあ、と思ったです。
by motchie (2007-03-12 23:48) 

dcm

残念、聴き逃しました。
石の上にも三年ですねえ。
今度はヴィオラとチェロの共演を楽しみにしてます。
引退した角笛吹きでした。
by dcm (2007-03-13 10:03) 

motchie

dcmさま、
コメントをありがとうございます!気づくのが遅くなって失礼いたしました!!
しかも最初は勘違いしていて「種ちゃん」がなんで角笛なんだろー?あれも角笛の一種なのかな~?まー、そうとも言うかな~?なんておバカなことをのんびりと考えていました(汗)

薪束はまだストーブにはくべられてはいませんが、このままでは那須のお家の薪ストーブにくべられてしまいそうです。でも、現状で管楽器はとてもではありませんが練習できません。許してください(笑)。
(ほとんど隠語の業務連絡)
by motchie (2007-04-17 00:08) 

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